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山口地方裁判所 昭和57年(わ)15号 判決 1982年5月18日

本籍

山口県宇部市大字東須恵二七〇七番地

住居

同市若松町六番三一号

鉄工業経営

能津曻

大正一三年一〇月二九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理を終え、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金一、四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、山口県宇部市大字妻崎開作八五九番地において、能津電機工業所なる名称を用い鉄工業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五三年分の所得金額は二四、三六七、五三一円で、これに対する所得税額は八、五九六、二〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上売上げの一部を除外し、あるいは仕入及び経費を水増し計上する等の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月一四日宇部市常盤町一丁目八番二二号所在の宇部税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は四、三五〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額は五一八、四九〇円であるが、すでに源泉徴収された五八一、六四〇円を控除するとその差額六三、一五〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額八、五九六、二〇〇円との差額である所得税八、六五九、三五〇円を免れ

第二  同五四年分の所得金額は六二、二二五、九六九円で、これに対する所得税額は三二、〇九一、一〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五五年三月四日前記宇部税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は八、八五六、四八〇円で、これに対する所得税額は二、二二一、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税二九、八六九、六〇〇円を免れ

第三  同五五年分の所得金額は四六、二三一、三六六円で、これに対する所得税額は二一、六〇七、一〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月二日前記宇部税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は一一、九一八、四六五円で、これに対する所得税額は四、七六三、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一六、八四三、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  村山トシ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官山本守人作成の脱税額計算書説明資料

一  宇部税務署長柴田元隆作成の所得税の青色申告承認取消決議書(謄本)

一  大蔵事務官三輪洋二および竹中衛各作成の調査事績報告書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官山本守人作成の脱税額計算書(一)

一  押収してある確定申告書(昭和五三年分)(昭和五七年押第一六号の一)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官山本守人作成の脱税額計算書(二)

一  押収してある確定申告書(昭和五四年分)(同号の二)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官山本守人作成の脱税額計算書(三)

一  押収してある確定申告書(昭和五五年分)(同別の三)

(法令の適用)

判示各所為 昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)

同法四八条二項

労役場留置 同法一八条

執行猶予 同法二五条一項

(裁判官 七澤章)

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